質問箱への回答

住宅確保給付金を利用したら保証契約が切られる?

質問箱に寄せられた質問

ご質問ありがとうございます。
まずは大変な状況下であるとのこと、心中お察し致します。
家賃支援制度「住居確保給付金」と保証会社契約との兼ね合いについてのご質問ですね。

最初に、保証会社にもかなりの数の会社があり、保証契約の内容もそれぞれ違いがありますので、まずはこの機会に一度ご利用の保証契約の約款を確認されることをおすすめ致します(通常、保証会社の契約書はめちゃめちゃ細かい字で書かれており、読んでいる人のほうが少ないとは思います)。
しかし、一般的なお話として「公的支援を受けた=保証契約解除」という内容が含まれていることは、かなり考えづらいと思います。
そもそも、保証会社と契約する目的はまさに、家賃の支払いが難しくなってしまったときにそれを保証=立替払いしてもらうというところにあるわけですから、支払いが難しくなって公的支援を受けたら解除、というのは筋が通りません。

また、保証契約の方ではなく、賃貸借契約(=お部屋の契約)の方に「借主が失業した場合は貸主は契約を解除できる」というような条文が入っていることが稀にありますが、失業の事実をもって即・契約解除というのは基本的にできませんし、失業によって貸主・借主間の信頼関係が破壊されたとも言い難いでしょうから(コロナが原因であればなおさらです)これも過度の心配をする必要はないと考えます。
但し、賃料の支払いがストップしてしまってそれが何ヶ月にも及べば、ブログ本文に書いた通り「信頼関係の破壊」とみなされる可能性が出てきますので、この点は注意が必要です。

もう一つ、実務的な注意点として「住居確保給付金」は家賃の送金先が「大家さんもしくは管理会社の口座」になっているケースが多いようです(自治体によって異なる場合がありますので、窓口等でご確認ください)。
一方、保証会社を利用していて、特に口座振替を利用している借主様の家賃の流れは、①保証会社が借主様の口座から引落 ②保証会社が管理会社に引落した家賃を送金 ③管理会社が取りまとめた家賃を大家さんに送金 という三段構えにになっていることが多いのです。
しかし、住居確保給付金は大家さん・管理会社の口座に入ってしまうわけですから、保証会社の方に家賃を戻してもらったりする必要が出てきます。
そのため、給付金制度を利用される際には管理会社・保証会社との事前の調整をきちんと行ったほうが良い、と考えます。

そうしておかないと、家賃が二重払い状態になってしまったり、役所からお金は支払われているのに保証会社にそれがきちんと送金されず家賃を払ったことにならない、などという二次トラブルに発展してしまう可能性があります。

最後に、ブログで紹介している住居確保給付金や緊急小口資金を利用することをためらう必要はありません。
これらの制度は「緊急時に生活を立て直すため」という極めて前向きな動機に基づくセーフティーネットですので、誰にでも使う権利があります。
但し、役所を経由する制度である以上、支給開始までやはり多少の時間がかかります。
だからこそ、ギリギリまで粘るのではなく、早め早めのうちに申請される方が良い結果を生むと考えております。

末筆ながら、質問者様のご多幸をお祈りしております。

 

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