質問箱への回答

定期借家契約の終了通知を管理会社に頼むと有料?

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はじめまして、永幸不動産株式会社の森下です。
大家さん側からの、定期借家契約の終了通知に関するご質問ですね。

基本的には「管理会社との管理委託契約による」というのが模範解答になりますので、まずはこの機会に管理委託契約書を読み返していただくのが先決かと思います。
しかし、管理委託契約書に特に記載がないというケースもあろうかと思いますし、そうした場合の考え方についても書いておきます。

一般的な管理契約は普通借家契約を前提に作られていることが多く、普通借家で行われる「更新のお知らせ」の発送なども管理契約に含まれている、とする場合が多いかと思います。
定期借家契約の終了通知に関しても、恐らく多くの管理会社はこれに準ずるものとして管理契約に含んでいることが多いのではないかと考えられます。実際、弊社も終了通知の発送に別料金を設けたりはしていません。

しかし、普通借家の更新業務と比較すると、

  1. 通知の時期が法律で明確に定められている
  2. 発送した事実・借主が受領した事実の証跡が残る手段での発送が必要になる
  3. 厳格に行う場合、代理委任状等を改めて大家さんから取得する必要がある

など、管理会社側の手間や費用が多いことは事実ですから、多少の手間賃や郵送料等の実費などを求められることもあり得ます。
とはいえ、大掛かりな費用がかかるものではありませんので(仮に内容証明郵便を使うとしても実費は数千円程度でしょう)過大な費用を請求されるようであれば、むしろご自身でやってしまった方が良いのでは、と思います。定型文例もネット上に結構たくさん転がっていますので。

そしてもう一つ大事な点として、定期借家の終了通知を「借主に退去していただくことを前提に発送する場合」は少し話が違ってくる可能性があることにご注意下さい。
特に「再契約があり得る契約だった借主を、家賃滞納や素行不良を原因として再契約不可とする」ような「立退き交渉」の性質を帯びる業務であった場合、不動産業者・管理会社がその業務に関して報酬を受領すると弁護士法違反(いわゆる非弁行為)とされる可能性が出てくるのです。

◆参考:賃貸アパート等の「立退き交渉」と非弁行為
https://www.retpc.jp/archives/1691/
(公益財団法人 不動産流通推進センター:不動産相談)

◆参考:滞納賃料の有料督促等の業務と非弁行為
https://www.retpc.jp/archives/16065/
(公益財団法人 不動産流通推進センター:不動産相談)

※一応、上記参考ページで引用されている判例は普通借家契約の借主に対するものですので、「単に終了通知を出すだけの行為」にもこれがそっくりそのまま適用されるかは議論の余地があると思います。

「じゃあ、タダでやってもらえばいいじゃん!」と考えたくなるところですが、この辺りの法律知識を押さえている管理会社であれば「法律事件に関わるというリスクの高い業務を無償で引き受ける」ことは避けるでしょうから、結果的に断られる可能性もあります(※この辺りの判断は大家さんと管理会社との日頃からの関係性に大きく依存すると思いますが)。

以上、ご参考になれば幸いです。

 

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