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重要事項説明書、どこに注目すればいいのか? 賃貸編①

建物貸借用の重要事項説明書

永幸不動産株式会社の代表、森下です。

このところ立て続けにお仕事で売買の重要事項説明・定期借家契約の重要事項説明・普通賃貸借契約の重要事項説明を行っておりました。説明をする側である森下にとっては沢山取り扱っている中の一つですが、お客様の多くは初めてだったり・人生の中で数度目ぐらいのものですから、重要事項説明の項目の中でどこに注目すればいいのか分からないということがほとんどだと思います。

当然ながら、賃貸と売買では内容もまるで違いますが、これまでの森下の経験の中から、注目した方が良いポイントをお話ししてみようと思います。こういう部分、不動産に関する公的なサイトとかで解説されていても「全部重要です」みたいな話になってしまいがちですしそれはその通りなのですが、まあ現場からの一意見としてお読み下さい。

なお、テーマ的に1回では終わりそうにないので、何回かに分けます。今回は賃貸の重要事項説明についてです。

 

◆賃貸の重要事項説明注目ポイント①:供託所等に関する説明(法第35条の2)

いきなり重要事項説明書に必ず載っているとは限らない部分からなのですが、これも契約締結までの間に説明義務のある項目です。書かれている内容よりも制度の趣旨をご理解いただかないといけない項目なので、弊社の場合は詳しめに説明しています。

まず、宅地建物取引業(不動産業)を開業する際には、営業保証金1,000万円~を供託所(=法務局)に供託(=預ける)するか、2団体ある宅地建物取引業保証協会に加盟して同額の弁済業務保証金を協会に立替てもらう必要があります。この営業保証金・弁済業務保証金は、宅地建物取引においてお客様に不測の損害が発生した場合、その弁済に充てられます。いわば消費者保護のための制度です。

例えば賃貸契約の際、敷金や礼金など合計30万円を仲介業者に振り込んで契約したところ、そのお金が大家さんに渡る前に仲介業者が倒産してしまった! という場合。30万円ものお金が消えてしまい、借主さんも大家さんも困ってしまいます。そういうとき、ここに書かれている法務局や保証協会に相談すると、30万円の弁済を受けられるという仕組みになっています(※弁済を受けるには審査のようなものがあります)。不動産取引の際に預けたり支払ったりする金額は高額になることがほとんどなので、1,000万円ぐらいの単位で保証されてないと足りなくなってしまうわけです。

なお、保証協会に加盟している不動産業者が協会から除名された場合、1週間以内に自腹で営業保証金1,000万円~を供託するか、他の保証協会に入り直さないと免許取消処分になります。例えば東京都の行政処分でもこれがかなり多く、保証協会の会員資格を失った(=除名処分された)のに営業保証金を預け入れられず免許取消処分というパターンがかなり見受けられます。

❝東京都知事による宅地建物取引業者への監督処分情報 (http://www.mlit.go.jp/nega-inf/takken/tokyo.html) ❞

とはいえ、これが重要事項説明書に書かれていない=怪しいという単純なものでもありません。最初に書いたように、必ず載っているとは限らない項目だからです。書かれてなくても、正常な業者であれば聞けば教えてくれると思います。

最も気をつけなければいけないのは、事務所を持たないフリーの不動産ブローカーみたいな人が「表では扱えないような物件情報をあなただけにご紹介しますよ・・・」とか「私は不動産業の免許は持っていないけど、不動産業者よりも格安な仲介手数料で仲介してみませますよ・・・」みたいなやつです。こういうのと取引をしていざお金を持ち逃げされても、保証されないわけです。

 

◆賃貸の重要事項説明注目ポイント②:登記記録に記録されている事項(甲区欄)

こちらは必ず記載される内容で、ここから読み取れるのは大家さんが確かにその物件の所有権を持っているかどうかという極めて重要な情報です。

不動産の所有者情報はさっきも出てきた法務局というところが管轄する登記記録というデータベースに逐一記録しないといけない・・・というか記録しないと所有権を主張できないということになっています。これから家賃を支払おうという相手が所有権を持っていなかったら、じゃあアンタ誰だ!? となってしまいますよね。

但し、大家さん(賃貸人)≠所有者というケースは実務上でもちょくちょくあります。

  1. 所有者が不動産業者・資産管理会社等にサブリースして、賃貸人の地位を渡している場合
  2. 元の所有者が亡くなった相続財産で、相続登記が完了していない場合

この辺りが典型的なパターンで、実務上は1.が多いですね。特に大手ハウスメーカーが建築したアパートとか、ファンド系の賃貸マンションではサブリースが使われることが多いです。簡単に言うと不動産業者が一旦物件を全て借り上げて運営する代わりに、所有者さんの手元に入る家賃は相場より低くなる、という仕組みです。

 

例外的なパターンとしてそもそも建物登記がされていない(=登記記録データベース上に建物情報がない)ということもあります。あんまりあっちゃいけないんですが、古い物件にはありがちです。この場合は、建物がある土地の登記記録がどうなっているか、固定資産税の支払いを誰がしているかなどの他の手段で所有者を特定していきます。

土地や建物の登記をどうするかは所有者・大家さん側の問題ですが、登記記録上どうなっているかを調査して重要事項説明書に記載するのは宅地建物取引業者・宅地建物取引士の責任において行う業務です。仮に、建物登記がされていなくて登記記録からは所有者が確認できないという場合、その旨をきちんと記載して代替手段で所有者特定を行った、という辺りまで書かれていないと不適切と考えられます。

弊社では重要事項説明の際に登記記録をプリントアウトしたものもお見せするようにしていますが、そこまでやらない業者さんも多いとは思います。ただ、他の業者さんであっても重要事項説明のときに「念のため登記記録を見せて下さい」とお願いすることもできますし、不動産業者は重要事項に関してリクエストがあった場合はそれに応じる義務がありますから、答えなければいけません。

 

あとはこの甲区欄に差押登記が入っていた場合、大家さんが破綻したか破綻間近ということですので、その物件の契約は見送るのが無難でしょう。というか、差押になっていたら重要事項説明書の作成中に宅地建物取引士が気づくはずですから、そんなものを見る機会もないとは思いますが・・・。

 

以上、特に実務上ではサラッと流されてしまいがちだけどけっこう重要な事項について解説いたしました。

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