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定期借家契約の新方式を解説!

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永幸不動産株式会社の代表、森下です。

これまで、定期借家契約の注意点・落とし穴について解説してきましたが、今回は平成30年2月28日に解禁された、定期借家契約の新方式について解説します。

・・・と言っても、法改正があったわけではなく、国土交通省から各不動産業界団体宛てに通達がありまして、その内容に従って行われれば、新方式による定期借家契約の成立が認められる、というものです。通達の内容は、弊社も加盟している宅建協会(全宅連)のホームページ等で公開されていますし、業界向けニュースサイト等でも紹介されていたので、不動産業界に身を置いていなくてもアンテナ感度の高い方はご存知かもしれません。

通達の本文はこちらから読むことができます。

以下、詳しく解説していきます。

 

◆新方式ここがスゴイ①:事前説明書と重要事項説明書が一体化!

以前の記事でも述べたとおり、定期借家契約を成立させるためには契約書とは別個独立した事前説明書が必要です。これがなければ定期借家契約が成立せず、普通借家契約になってしまいます。

管理会社や不動産業者に募集を依頼する場合、通常は事前説明書もその業者が作成しますが、同時に重要事項説明書や、東京都の物件であれば賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書、そして賃貸借契約書なども作成されます。

通達により、下記の要件を満たした場合には上記のうち事前説明書と重要事項説明書を一体化させて良い、ということになったのです。要件も特に厳しいものではなく、下記の3つが重要事項説明書に含まれていればOKです。

  1. 本件契約は定期建物賃貸借契約であり、契約の更新がなく、期間の満了により終了する旨
  2. 重要事項説明書の交付をもって、事前説明書の交付を兼ねる旨
  3. 賃貸人から代理権を付与された宅地建物取引士が行う重要事項説明は、借地借家法による賃貸人が行う事前説明を兼ねる旨

但し、上記のうち3に関連し、事前説明の代理権の授与に関しても通達に記載があり、具体的には下記のような対応が必要になってきます。

  • 説明時、貸主から宅地建物取引士に対する代理権の授与を証する書面(=委任状)の提示ができるようにしておく必要があります
  • 再契約時の重要事項説明・事前説明時にも代理権を付与したい場合に備え、委任状等に代理権が授与されている期間を明記するのが望ましいとされています

つまり、事前説明に関して宅地建物取引士を代理人と定めた委任状を書く必要があります。

従前方式の場合、代理人は宅地建物取引業者(=管理会社、不動産会社など法人・個人事業者)であることが多かったのですが、新方式は宅地建物取引士だけが行える重要事項説明の中で行われますので、宅地建物取引(=管理会社、不動産会社などの従業者個人)に宛てて委任状を書く必要があります。

これを応用すれば、複数の物件を定期借家契約で運営する時など、まとめて事前説明代理権を付与することもでき、書類事務の手間を大幅に減らすこともできます。

 

長々と解説しましたが、新方式の何が良いのかというと、契約当事者が保管すべき書類が減るというポイントが一つ。書類が一つ減るだけでも紛失リスクが減ります。

もう一つは、説明責任者を明確にできるという点です。従前書式で宅地建物取引業者を代理人にした場合、その業者の従業員のうちの誰が説明したのかが曖昧になりますし、共同仲介の場合だとそもそも説明をしたのが代理権を授与した宅地建物取引業者ですらない、というのは非常にありがちな話です。

実はこれ大家さんにとってはけっこうリスクが高くて、管理会社など元付けがしっかりしていても客付け仲介業者が適当だったりすると、後々になって裁判でひっくり返されて定期借家契約が成立していなかったことが判明!ということも十分にありえます。

 

◆新方式ここがスゴイ②:いわゆる「IT重説」にも対応できる!

そもそも通達のタイトルが「定期建物賃貸借に係る事前説明におけるITの活用等について」となっているとおり、メインはこちらです。

2015年から社会実験がスタートし、2017年10月より賃貸取引に限って解禁されたIT重説というものがありまして、これは契約時の重要事項説明をテレビ会議システムで行っていいよ!というものです。

IT重説に関しては弊社も社会実験段階から参加してまして実際にこれまで何件か実施しており、色々と知見は得ています。話がずれるので、それはまたの機会に譲ります。

ともかく2017年10月に解禁されたものの、定期借家契約の事前説明に関してはIT重説の制度設計上、テレビ会議システムでやって良いのかどうなのか曖昧だったわけです。それを今回の通達でOKにしたということですね。

そもそも、定期借家契約の事前説明書は借地借家法上の制度なのに対し、重要事項説明書は宅地建物取引業法上の制度なので、似ているだけで全然別モノです(※とは言いつつも、事前説明書制度は重要事項説明を参考にして作られたんだろうなぁとは思いますが・・・)。これらを一体化したり、IT重説で出来るようにしたりって、実はけっこうアクロバティックなことをしている通達なんです。

 

この新方式、きちんと使いこなせているかどうかで、大家さんが普段依頼されている管理会社・不動産業者がちゃんと勉強しているかどうか見極めることが出来るポイントでもあります。

もちろん従前方式が無効になるわけでもないですから、今までどおりでいいでしょ!っていう業者さんもいらっしゃるとは思いますが、書類紛失リスクを減らせるという大家さん側のメリットがある以上、ちゃんと研究すべきだと森下は思いますけどね。

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