賃貸物件にお住まいの方向け

賃貸住宅の退去を求められたら!?

バツマークがついたビル

永幸不動産株式会社の代表、森下です。

賃貸住宅に住んでいたら、ある日突然「退去してほしい」と言われてしまった、あるいは裁判所から「この物件は競売にかかりました」という文書が届いた・・・そんなときのお話しをします。

 

◆賃貸物件で、突然の退去勧告を受けたら?

不動産会社なんてやっているとこの種のご相談を受けることはままあります。

退去勧告の原因がご自身にある場合(賃料滞納を繰り返した・管理規約に違反した・迷惑行為や不法行為を行なった等々・・・)は、正直なところ管理会社としては速やかにご退去いただきたいところですが、問題はご自身にはなんの落ち度もない場合です。

典型的なのは、建物が古くなってきて建て替えるので、立ち退いてほしいというケース。

古くからの住宅街である新大塚や大塚でもこの種の事例にはよくあたりましたが、築40~50年(1960年~70年代建築)の木造アパートですと、よほどメンテナンスがしっかりしていないと耐震性の問題の他に、雨漏りや歪みなど、日常的な使用に耐えられなくなってくることがあります。このまま使い続けるとご入居者様にも危険が生じかねない、というレベルのこともままあります。

居座るべきか・引っ越すべきかという部分についての私見ですが、事情にもよるものの賃貸住宅に関しては居座り続けてもあまり明確なメリットは見出しにくいと思います。老朽化が進んでいる建物なら、大家さんが心変わりして耐震補強工事でもしてくれれば話は別ですが、住み続けても老朽化が進むだけです。

過去に取り扱った事例では物件のコンセプト変更工事をするためなどという勝手な理由で退去を求められたという相談がありました。この場合は老朽化が進んでいるわけではありませんが、その後もそんなことを言い出すような業者が管理を続けるのであれば、住環境が良くなることは無いですから、お客様とも話し合った結果、引っ越してしまった方が良いという結論になりました。

 

さて、これらのケースの場合、立ち退き交渉の窓口になるのは大家さんや管理会社のほか、次の建物を任される建築会社だったりすることもあります。まずは先方の言い分を確認し、冷静に対処しましょう。

気をつけなければいけないのは、求められている退去期限が異常に短い(1~2ヶ月)ケースや、転居に伴う資金援助を一切行う素振りがない、あるいは異常に安い(数万円など)ケースです。貸す側の都合で引っ越しせざるを得ないわけですから、①転居先を探すための十分な時間的余裕(通常6ヶ月程度が目安になります) ②転居先を契約する際の初期費用や引っ越し代 はきちんと求めたほうが良いと思います。

これらの条件が整う前に「解約通知書」や「退去同意書」などに署名捺印してしまうと単なる合意解約(いわゆる1ヶ月前予告での解約と同じもの)とみなされてしまい、最悪の場合全額自費で引っ越しせざるを得なくなってしまいます。十分に注意しましょう。

交渉窓口が管理会社などの不動産会社であればその会社に代替の部屋を探すように依頼するのも手ですが、当然彼ら/彼女らは大家さん側の人間ですから100%の味方にはなってくれません。

100%自分の味方になってくれる仲介業者を探して相談しましょう。

 

◆突然の、裁判所からの競売執行通知

もうひとつ、裁判所の執行官を名乗る人物から「この物件が競売にかかりました。ついては●月●日にお伺いしますので契約書類などを準備しておいてください」という趣旨の手紙が届いたら、要注意です。

弊社のお客様への重要事項説明時にはかなり詳細に説明しているのですが、世の中には不動産競売という制度があります。かいつまんでいうと大家さんが破綻してしまい、裁判所が大家さんの所有している不動産を競売(=オークション)にかけてお金に変えようとしている、ということです。

これは大家さんに対してアパート購入資金やマンション建築資金を貸し出している金融機関が、万一の破綻に備えて設定する抵当権・根抵当権という権利を発動した場合に起こります。裁判所が物件をお金に変えたら、そのお金は金融機関への返済に充てられます。

 

「・・・何だ結局大家さん側の都合じゃないか、入居している私には関係ないじゃん!」と思うかもしれませんが、競売だけはそうはいきません。

民事執行法という法律で競売に関するルールが定められておりまして、その中に「競売で物件を落札した人が入居者に対して立ち退きを要求した場合、入居者は6ヶ月間の明け渡し猶予期間内に立ち退かなければならない」「その間、賃料・管理費を落札者に支払わなければ6ヶ月間を経ずに立ち退かなければならない」という定めがあるのです。

そしてこのケースの場合、大家さんはすでに破綻してますから引っ越し代などを求めることは容易ではありませんし、「落札者は敷金を引き継がない」という規定もありますので敷金もまず返ってきません(こちらで触れている競売物件敷金保険はこんなときに役立つわけです)。自分に落ち度がなくても自腹でなんとかするしかない、ということになります。

しかし、諦める前にいろいろな状況を確認した方が良いポイントもあります。

  1. そもそも競売にかかったのは本当かどうか確認・・・詐欺の可能性もありますので、念のため
  2. 銀行が抵当権を設定したのは賃貸契約の前か後か・・・退去しなくて良い場合もあります
  3. 落札者と交渉して借り続けることはできないか・・・賃貸目的で落札する人もいます

特に上記の1. と2. は不動産会社でないと確認が難しいと思います。

まずは混乱せず、競売について知識を持っている人に相談するのが先決です。

 

しかし、このあたりの知識を持っている不動産業者はあまり多くありません。何故なら競売(=民事執行法)は不動産仲介業の範囲を外れる分野で、象徴的なことに宅地建物取引士試験の範囲にもありません。

上記のように不動産賃貸には密接に関わる分野なので、森下は競売不動産取扱主任者という資格を取得してこの分野の知識を得ております。実際に借りている物件が競売にかかってしまったというご相談をお受けし、様々な対抗策を練ってご相談者様のダメージが最小限になるようお手伝いをしたこともあります。

ちょっと資格名称が物々しいですし、人によっては「競売物件を狙ってるんですね!」などとあらぬ方向に受け取られてしまうこともあるのですが、非常に役に立っている知識です。

 

永幸不動産では、このような突然の退去勧告や、競売通知が突然きてどうしたら良いかわからない!という方のご相談をお受けしております。

まずはメールだけでも、お気軽にご相談ください! お役に立ってみせます。

 

 

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